ABC座2015 10月11日(日)12時公演と一幕の流れ

一幕 サンズオブマッシュルーム
・Smile Again
手拍子が起きる。
白いタキシード。白いファーが燕尾の裾に付いている。
前説
河合「ここで悲しいお知らせがあります。」
戸塚「悲しい話」
河合「ここ一幕からA.B.C-Z一切出てきません。」
ABC座とうたっているのに、そこは譲ってはいけないところだろう、という話になるが
河合「これいただいちゃったんで」
日本のお金のジェスチャー
「いくら?」
河合「1200万」
戸塚「プラネッツ、そんな持ってるの!?色んなところに借りたんだろうな…」
河合「サターン、実家がお金持ってて」
五関「ボンボンか」


上手XC列とA列の間を七五三掛、原、目黒が通って入場する。
七五三掛はギター、原はスキー板、目黒は辞書ほどの厚さの本をひもで縛ったものを両手に下げている。

河合「楽器を持ってる!プラネッツのファンかな。」
首を横に振る。


上手から通路同じくXCとAの間、アメフトのユニフォームを来た如恵留を寺西、森継が太股を持ってリフトしながら進む。

「大学生だ」
文化祭に来て欲しい、という彼らは校歌のようなものを歌う。
「東大ですか?」
如恵留「あそこに文化はないだろう、医学部しかないんだからさ」

アイツヴァイドライと唱えながらアメフト大学生たちは下手後方へはけていく。
高校生(七五三掛たち)が五郎さんというおじいさんに会おうと上手から舞台に登ると下手舞台に中古レコード店がせりあがる。

五郎のおじいさんは紫色のハットを持っている。

高校生と五郎さんが昔、日本にはすごいバンドがいたんだ、と昔ばなしをしていると、暗闇の中、後ろでプラネッツがスタンバイ。
下手から上手へ河合、塚田。
上手から下手へ戸塚、下手から橋本がスタンバイ。
リョウスケ(ボーカル・ギター)
青いギター
ショウタ(リードギター
白いシャツを腕まくり。ベストにスラックス、ショートブーツ。
フミト(ドラム)
赤い帽子、白いシャツに白黒チェックのネクタイ、サスペンダー、ぴったりめなパンツにスニーカー
リョウイチ(べース)
袖なしフードつきのタンクトップに半ズボン
コウイチ(キーボード)
白シャツにチェックのシャツ、デニムパンツ。

ドラムのフミト、ギターのショータと視線を合わせて笑っている。

曲の途中で蛍の光が流れる。

場所はとあるライブハウス。
バンドは方向性やサウンドを探っている。

そこへ、このバンドの曲「神様チャンスを」を気に入ったというオーガナイザーを名乗る人物から電話が入る。

札幌の60年代フェスに参加出来ることとなり、飛行機で向かうため、一同は高校へ車で向かう。

ハンドルはフミトが受け取るが、運転はリョウスケ。
・SEXY DRIVING
・イージードライバー
暗転し、東京国際空港のネオンが光る場所へ到着。
JALのタラップからから、降り立つと札幌とは様子が異なることに気付く。
ビートルズの来日に居合わせる。
60年代音楽のファンであるドラムのフミトはビートルズを追っかけさせてほしい、とついていく。
メンバーをリョウスケが追おうとすると、そこへ飛行機から、一匹の白い猫が降り立つ。
高速道路でリョウスケが避けた白い猫だった。

ビートルズの初来日公演は日本武道館
日本武道館がコンサート会場として使われたのはその日がスタートだった。

電話BOXで電話をしている男がいる。
「九段にいまして、いや普段…」
現在の武道館の最寄駅は九段下。

チケットを探し求める人々。
ビートルズと同じ髪型をした学生たち。

電話をしていた男性(五郎)と金髪でベースのリョウイチが出会う。

フミトは無事にメンバー5人分のチケットを手に入れる。
物価が異なるため、簡単に買えたらしい。

コンサートを見終わった5人。

リョウイチはリンゴを気に入る。
キーボードのコウイチはジョン・レノン後に熱狂的なファンに射殺されることを思い出す。
教えてあげたほうがいいのではないか、そうすればバックトゥザフーチャ―のように助かるかもしれないと言うリョウイチに
フミト「黙れ!マコーレ・カルキン!!」
俺たちは未来から来た人間で、あなたはあと14年後にニューヨークである熱狂的なファンに撃たれますから、気を付けてください、などと言っても頭がおかしいと思われておしまいだ、と話しているところもすべて五郎に聴かれている。
そもそもそんな長い英語をしゃべる能力がないし、という話していると、でたらめな英語を話す五郎が姿を現す。
五郎は、ビートルズの他のメンバーやローリング・ストーンズのメンバーは無事かと尋ねながら、近付く。
自分たちの話している内容が妙だと思わないかと問う三人に、五郎は自分の人生はロックンロールだ、ロックンロールは常に変化を受け入れるという意味だから、と言う。
それにしても、面白い作り話をする、と五郎がフミトの赤い帽子をひょいと持ち上げて被る。
ショウタが「作り話ではありません」と合流する。
ビートルズの功績がいかに素晴らしいか、ビートルズの子どもたち、という表現を使って説明する。
ロックは不良だけの音楽ではなくなり、スタンダードとなる、と説明すると、五郎は俺たちがそのスタンダードが嫌でロックをはじめたのに、と主張する。
そこへ、みんなのケータイは大丈夫か、とリョウスケが走ってくる。
ラム(拾った猫)をスマホで写真を取ろうとしたら、スマホが居酒屋や温泉の下駄箱の鍵の板になっていた。ショウタも同じく。
リョウスケは ショウタは実際はほの二だが、「ほの六」
リョウイチのガラケーはエチケットブラシになっている。
他の2人のスマホも確認しようというとフミトは時間の無駄だという。
コウイチはフミトがチケットを買う時に万札の柄が違ったから、妙だと思っていたと話す。こちらの世界(過去)へ来てからは様々なことが順応している。

この時代にはもちろん、コンビニもない。
ラムが腹をすかせているようだからミルクをやりたい、と言うリョウスケに、五郎は電車がなくなってしまう前にと、5人を自分のアパートへ招待する。

ラムに自分はじましまの猫を飼っている、話すリョウスケ。
ラムは「また会えるよ、そのしましまの猫に。それまで私と頑張ろうね。でもそろそろミルクがのみたいかな」

五郎は小さなレコード店を営んでおり、バンドを持っていたが、メンバーと衝突して解散したこと、マッシュルームの4人組が好きなことを語ってくれた。
ギクシャクしていたバンドは稀有なアクシデントと五郎さんと知り合ったことでひとつになりはじめていた。

五郎はお前たちの歳の頃にメンバーのことをわかっていれば、こんな生活はしていないと悔やんでいる。

公衆浴場や昔のマンガで当時を知るメンバー
バンド名を尋ねられて答えると、偶然にも五郎が組んでいたバンドと同じ名であるとわかる。

五郎がコーディネートをしてくれると言い、
フミト、羽の帽子と丸いサングラス、リョウイチは白いダボダボの服、コウイチはカンカン帽、リョウスケはインディアンの被り物をかぶってロックダンス。
真っ白なラムが真っ黒なジュニアをバックに従えてダンス。
「マスコットガールならぬマスコットキャット、ごろにゃんと猫なで声で甘えてみせよう、ほととぎす、ああ知識人」
「半世紀の時を超えて伝説のバンドが産声を上げようとしている。水金ちかもくどってんかいめい、新生プラネッツ」
[]はスクリーンに出ている文字。
風呂上がりの洗い髪、水も滴るいい男、ギターボーカル、マーキュリー
[趣味:自分]

クールで冷静、黙々と仕事をこなす職人気質、キーボード、ジュピター
[趣味:お茶]

どんなに笑っていようとも、目だけは笑っていない炎の男、リードギター、マーズ
[趣味:長いセリフ]

土俵の横の肩すかし、土曜の夜の太鼓持ち。サターン!悪魔じゃないのよ、あくまでも。
[趣味:破壊]

以上です。

リョウイチ
どうかこの人に近寄らないで下さい、けして餌を与えないで下さい。
呼ばれて飛び出て空中回転迷惑千万、目指せハリウッド。ベースギター、メイチン。

[苦手な事:コミュニケーション]

これで人気者になれなかったら、月に代わっておしおきよ。


髪はマッシュルームのカツラをかぶり、服は鼓笛隊の衣装。
猫の抜け道を通って、酒屋の倉庫へ。
五郎さんと出会って、これまでこんな楽しい事はなかったかもしれない、とリョウスケは感じる。ラムにきっかけを作ってくれたのはお前だよ、と言う。

フミトは、高度経済成長の話はばあちゃんから聴いた事がある。エネルギッシュな五郎さんを見ていると、戦後の日本が復興して行った様子が理解できる。五郎さんはオレたちのブライアン・エクスタインなのかもしれないと語る。

倉庫で練習をはじめて3日。
ショウタが玄関の貼り紙に気付く。

五郎はバンドの解散でメンバーが抜け、ライブの穴を空けたために借金をかかえていた。

五郎に教えられながら練習をしていると、電話がかかってくる。

若手の登竜門、アシベでライブをしてみないか、という電話であった。

ラム「どうして人は大切にしてくれるただ一人の人ではなく、不特定多数の人気を求めるのでしょう」
「猫は人気者になろうなんて思って生きてはいませんから。」

プラネッツがアシベの動員数を塗り替え、またたくまに人気者になっていく様子がスクリーンに映し出される。
シャボン玉アワーに双子のごせこ(映像)
ビートルズのようにファンに追い掛けられる。(映像)
・君に会いたい
・イージードライバー
・恋のドラキュラ・ガール
メンバーが前に出てくる。
ショウタ、ギターを弾きながらツイストのようなステップを踏んでいる。
コウイチはタンバリン。
・神様、チャンスを
学生服の6人が出てきて、マーキュリーの連れている猫が話題でファンの女の子たち間で白い猫を飼うのが流行っている、と話し、神様、チャンスを、に合いの手を入れる。
構えのポーズはお釈迦様。


プラネッツはアシベの動員記録を塗り替え、今度は日劇エスタンカーニバルに出演することになる。

プラネッツのマネージャーを名乗る五郎が出て来る。
プラネッツは大きな舞台に緊張している。出演したら大きな声で、キャーでもプラネッツでも、メンバーの名前でもいいから声援を送ってほしい、と言う。

歌の合間は拍手なり歓声なりしてもらって、歌い始めたらしーっで。
プラネッツの他にも様々なアーティストが出演するので楽しんでほしい、と言い残すと五郎ははけていく。
・Singing’for you
・涙くんさよなら

大きな舞台に気負うサターンはマーキュリーに「そんな猫置いて来い」と言い放つ。
バンド内で口論になりかけるが、マーキュリーが素直にラムを置いてくることで一度事態は収束する。
リードボーカルにもっと言い方があったんじゃないのか」と言うメンバーにサターンはシンバルを叩きつけ「リーダーは俺だ。今日は負けるんじゃねえぞ」とすごむ。
・恋のドラキュラガール
曲終わりにメイチンがアクロバットブレイクダンス

舞台が終わりリョウスケはラムに今日の晴れ舞台に連れて行けなかったことを謝罪する。

サターンが「メイチンが暴れ出したときはリードボーカルくっちゃうかと思った。リーダーのオレに何の相談もなかったから。」
「フミト」と制するジュピターに「サターン。悪魔みたい?悪魔みたい?」とサターンがおどけて言うと、リョウイチ「悪魔みたい!サターン!」
「リョウイチ、冗談抜きにオレに話を通せよな。お前たち、ちょっと人気が出て来たからって勘違いしてるんじゃないのか。」
リョウスケ「お前はどうなんだよ」
フミト「リードボーカル、お前は猫としゃべってろよ。お前を人気者にしてくれた、あの猫とよ!」
ショウタ「いい加減にしろよ。言い過ぎだ、フミト」
フミト「いいかお前ら、ここまでこれたのは昔から60年代音楽を勉強していたオレのおかげだ。五郎さんはオレの音楽センスをかったから、お前たちが今ここにいられるんだよ。コウイチ、お前のミスタッチなんてどうこうの話じゃねえんだよ。」
と他のメンバーにもからむ。
フミトが椅子をコウイチに向けて椅子を蹴る。
フミトがショウタを殴る。
♪PERIOD
黙ってついてこい
お前が正しいのか

もがき  心音になって響くよ
やめろやめてくれ
離れ離れの僕が五線譜を斬り裂く
こんなはずじゃ このままでも
僕等にせまるピリオド

憎しみに染まる心 止められずに叫ぶよ
乱すメロディー 走るリズム バラバラのままで
離れ離れの僕が五線譜を引き裂く
こんなはずじゃ このままでも
僕等にせまるピリオド
ピリオド

バレエのような動きのダンスを踊る。

五郎が現れ、オレのスタジオの夢は叶わないようだ、とプラネッツのケンカをなだめる。
自分たちもくだらないことでケンカをしていた。バンドマンはくだらないことでケンカすると言われている、と話す。
なんんだかんだ言ったって、ギターがいなきゃはじまんねえ、ドラムがいなきゃはじまらねえ、ボーカルがいなきゃはじまらねえ。
音楽とは音が楽しいと書く。オレは仲間のことを考えず一人で楽しんでた、とバンド時代の自らの経験を話す。メンバーが死んで、もっとみんなで楽しくやれば良かったのに、と。

五郎さんに会えてよかったと話すリョウスケに、続きはここがスタジオになってから話そうと、ケンカばっかりしてないで頼むぞと言い残して五郎は帰っていく。

それが五郎さんとの最後だったとラムは話す。
リョウスケの目を盗んで追ってきたラムに気付いた五郎は、
「おいつら未来から来たんだぞー」とラムにつぶやく。
ラムは五郎の背中が見えなくなるまで、ずっと見送っていた。

元の時代に帰った方がいいんじゃないかと話す、リョウスケ、リョウイチ、ショウタに対し、フミトは一人だけこの時代に肌があっている、この時代では人気が出て来たけど…と言うと、コウイチが「2015年に戻ったら、俺たちはゼロからのやり直し、貧乏バンドで東京オリンピックのころには居酒屋なんかでバイトしているのか」、としみじみつぶやく。
下駄箱の札をみつめるショウタにコウイチ「まだ持ってたのか、捨てろよそんなの」と言うと、「この東方見聞録がもし、元の時代に戻ったら、スマホに変わってるんだよ」と話す。

リョウスケ「もし向こうに帰れたら、俺たちまたゼロからやりなおせばいいだけだ」
五郎さんからこの時代のサウンドも教えてもらったし、もっと大切なものも教えた貰った、あっちに戻ってまたやり直せばいい、と言う。
それに対してフミトが「こっちに来た時とそれが逆になるということはね、ものすごく物価が高くなるということなんだよ。俺たち自由にできるお金はもらえるようにあったかもしれないけど、それがいきなり2015年になったら、移動車に使う軽トラさえ買えないんだよ。君はギターで手荷物だからいいけど、オレはドラムだよ?」

「向こうに帰れたら、まだ顔も見たことがない父ちゃんや母ちゃんに会えるかもしれねんもんな。」と再び、リョウスケにからむフミト。
「この時代ではお前の父ちゃんと母ちゃん、まあ産まれてもないもんな」
と言うフミトに
「やめろ!またかよ!」と叫ぶショウタ。
フミトはここにスタジオを作る五郎さんの夢をかなえるからこの時代に残るという。

リョウスケがラムがいないことに気付く。
外から、ラムを探すリョウスケの声と、大きな衝突音。
コウイチ「今、外で何かぶつからなかったか」
「行ってみよう」

フミト「リョウスケ、嘘だろ、リョウスケ」

ラム「私はまた助けられた。でもリョウスケは帰らぬ人となった。寝る前にいつも私に話をきかせてくれたのは、仲間のことだった。どんなにケンカをした日でもリョウスケは仲間のことは決して悪く言った事はなかった。」
リョウスケからみた各メンバーの話をして
「フミトとは一番ケンカをしたって言っていた。心配してみつめていると、あれは兄弟喧嘩なんだよって。フミトとはいつも兄弟喧嘩みたいになっちゃうんだよ。その話をしているリョウスケは一番にこにこしていた、だって、リョウスケには兄弟はいなかったから。」

フミト「ごめんなリョウスケ。オレ、最後に一番お前に言っちゃいけない事言ったよな。裏切るかもしれねえって。オレはあの人みたいに一人だけで楽しんでたんじゃないんだ。一人だけクソみてえに有頂天になってただけなんだ」
「今、気付いたんだ、本当はオレ、どっちでも良かったんだよ。どっちの世界でもオレはマーキュリーと一緒にバンドをしていたかったんだ。兄弟喧嘩をしていたかった。」

♪Tomorrow
We are the〜
ラムがマンホールの上で踊り、コウイチが続けて踊る。

ラムがいなくなり、リョウスケがマンホールの上に現れる。
リョウスケが一番にフミトと肩を組み、みんなと肩を組む。

スクリーンに
「思い出はほんの数ページだったけど
五郎さんといた短い時間が
俺たちを大人にした」
と字が映し出される。


プラネッツが現代に戻って、1階の上手通路奥から登場する。
それぞれ、違う色のプラネッツのミリタリーロングコート姿。
酒屋のエプロンを付けたほなみと出会う。
ほなみに案内されて着いた酒屋の地下は、ごぎれいなスタジオになっている。
五郎と再会を果たすプラネッツ。
フミトは五郎から、経年で赤から紫へ色を変えた帽子をかぶらされる。

五郎「リョウスケ、あのほなみ、不思議な感じがすると思わないか」

ほなみがエプロンを取るとそこにしっぽがのぞいている。

黒いスーツ、ジュニアはタイなしでベスト。
A.B.C−Zはミリタリージャケットを脱いで、黒いスーツ姿、黒い蝶ネクタイになる。
曾我さんも黒いスーツに蝶ネクタイ。
穂波も男性と同じ、黒いスーツに蝶ネクタイで
Smiling Againと神様チャンスをのミックスを歌い、踊り、三方礼をして、幕が閉じる間際に
河合「ここで25分間の休憩です」
第一幕終了。